-Why?-
件名/明日のことで
本文/講義終わったら空いてる?
祐奈たちが帰った後1件の不在着信と結城君からのメールが来ていた。
なんかこういうメールって付き合ってるって感じするなあ、なんて、ほこほこした気持ちになる。
返信に迷って、私は不在着信の純也さんにかけなおすことにした。
「もしもし、玲です」
「もしもし、ああ、こないだの…」
「不在着信…来てたので」
「あ、そうそう。明日午後空いてる?」
「午後は…」
頭の片隅には結城君からのメールのことがあった。
「無理かな?」
「いや、大丈夫です。飯…行きましょう?」
「よかった!迎えに行くよ。大学…どこ?」
「○○大学です」
「オーケー。じゃあまた明日」
「あの…ありがとうございます」
「ううん、じゃあね」
プツッと切れる電話。
結城君への罪悪感をちょっと感じながらも明日が楽しみになっていた。
件名/Re:明日のことで
本文/ごめんね。明日は予定が入っているの。また今度でいいかな?
送信ボタンをギュッと押す。
思えば、結城君からのお誘いって断ることが多いなあ。
今度、私から誘おうっと。
それにしても…。
明日何を着て行こう?
そう思ってクローゼットを見る。
高校時代はフェミニンな感じのものも着ていたけれど大学にはいってからは全くと言っていいほどそんな服は着ない。
「このワンピース…」
私は1枚のワンピースを手に取る。
さくらんぼ柄のワンピース。
大河が似合ってるって褒めてくれたんだ。
大河のことを…忘れるのは無理なんだなと私は思う。
こんな感傷に浸ってはいられない…とその思いを断ち切るように、私はクローゼットを閉める。