-Why?-
「大河?」
その男は永遠を誓い合った恋人吉野大河だった。
「えっ、なに?知り合い?」
慌てる祐奈たち。
「知らねえよ、こんな女。第一、大河じゃないし、俺、桜井純也」
大河…な訳ないもんね。
「ごめんなさい。いるはずもないのに…あの!今日はもう失礼します」
慌てて外へ飛び出す。
大河と似てる…というか大河と全く同じ顔してる。
心臓がドキドキして暴れてる。
どこかで頭冷やさないと…。
「お姉ちゃん、暇?ちょっと付き合ってよ」
繁華街をウロウロしていると、いかにもヤンキーな男3人組に話しかけられる。
「あ…あの用事があるので…」
「あ?言うこときけよ」
1人が私の手首を強く掴む。
「すみません。俺の連れなんですけど?」
後ろから急に抱きとめられる。
「ちっ、帰るぞ」
男たちは鼻息荒く帰って行った。
「繁華街は女1人じゃ危ない」
抱きとめられた方を見ると、さっきの大河と瓜二つの男が。
慌てて、その男の体から離れる。
「あの…大河…じゃなくて、えっと」
「純也、桜井純也」
「純也さん!ありがとうございました。あの…さっきはすみませんでした」
私は純也さんに頭を下げる。
「いや、大丈夫。俺の方こそなんか…ごめん、追い出すような感じになっちゃって」
そんな、とんでもない!と私は首を横に振る。
改めて見るとやっぱり大河に似てる…長いまつげにパッチリと開いた目、思わず見惚れてしまう。
「俺の顔…なんかついてる?」
「あ…いや。やっぱり大河に似てるなあって。あの知り合いに純也さんにそっくりな人がいて」
純也さんは目をパチクリさせる。