プリーズ・イート・ミー

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やがて夢から覚めるみたいに、車がゆっくりと止まった。

すぐそばにあるのは、わたしが一人暮らしをしているマンション。
なんの変哲もないありふれたワンルーム。それがわたしの帰る場所だ。

魔法が解けて、急に現実に引き戻されたような感覚。

だけど、そんな寂しい気持を口にすることなんてできない。


わたしはシートベルトをはずし、頭を下げた。


「あの、送っていただいて、ありがとうございました」

「ああ。あ、ちょっと待って」


桐谷さんは後部座席に手を伸ばす。


「きゃ……」

「え?」

「あ、いえ。なんでもないです」


彼が上半身をひねったもんだから、助手席にいるわたしに近くなって……一瞬、ドキドキてしてしまったのは内緒だ。


「はい。どーぞ」


桐谷さんは紙袋をわたしの膝に乗せる。

中を覗きこんでみると、大きさ20センチ四方ぐらいの白い箱が入っていた。


「オレからのクリスマスプレゼント」

「え?」

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