プリーズ・イート・ミー
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚
やがて夢から覚めるみたいに、車がゆっくりと止まった。
すぐそばにあるのは、わたしが一人暮らしをしているマンション。
なんの変哲もないありふれたワンルーム。それがわたしの帰る場所だ。
魔法が解けて、急に現実に引き戻されたような感覚。
だけど、そんな寂しい気持を口にすることなんてできない。
わたしはシートベルトをはずし、頭を下げた。
「あの、送っていただいて、ありがとうございました」
「ああ。あ、ちょっと待って」
桐谷さんは後部座席に手を伸ばす。
「きゃ……」
「え?」
「あ、いえ。なんでもないです」
彼が上半身をひねったもんだから、助手席にいるわたしに近くなって……一瞬、ドキドキてしてしまったのは内緒だ。
「はい。どーぞ」
桐谷さんは紙袋をわたしの膝に乗せる。
中を覗きこんでみると、大きさ20センチ四方ぐらいの白い箱が入っていた。
「オレからのクリスマスプレゼント」
「え?」