プリーズ・イート・ミー
「あのっ、それはですね」

「夢って、深層心理が表れるっていうよなぁ。戸田も言ってたけど、お前、オレのこと、“性的”な目で見てんじゃねーの?」

「み、見てませんよ!」

「ほんとかよ?」


桐谷さんの顔が徐々に近づいてきて、わたしの鼓動はどんどん激しくなる。
そして息がかかりそうな距離になった時、甘く低い声で囁かれた。


「なぁ……お前食ったら、どんな味すんの? 甘いの?」


くすって笑う。
その表情も……声も……ぞくぞくするほど色っぽくて。

あああああ……もうダメ。
降参、降参です。

これは今朝見た夢の続きかもしれない。いくらジタバタとあがいたところで、わたしはきっとこの人から逃れられないのだ。

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