プリーズ・イート・ミー
ふたりに近づいた和也がしゃがみこんでほんの少し毛布をめくる。
まるで殺人現場の死体を確認する刑事のように。


「ふたりとも、服きっちりきてるし。乱れた形跡はなし……と」

「ならいいけど……」


ホッと胸をなでおろす。

まぁ、あたしは杏里が冨樫さんに片思いしていたのは知ってるから、ふたりがうまくいったなら、それはそれでいいんだけどね。


「おーい。冨樫、おきろ」


和也が寝ている冨樫さんの肩をゆする。
あたしは慌てて、それを制止した。


「ちょ……。もうちょっと寝かせてあげようよ」

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