プリーズ・イート・ミー
思わず叫んじゃった。だって、すごくあたし好みのものが入ってたんだもん。

それはアンティークのブローチだった。

銀製かな? 雪の結晶みたいなデザインで、ものすごく細かな細工が施されている。
中央には宝石かあるいはガラスかわからないけど、水色の透明な石が埋め込まれている。


「こういうの、好きだろ?」

「うん! めっちゃ好き。この前買ったコートの襟につけよっと。絶対似合う!」

「よかった。喜んでもらえて」


和也が満足そうに微笑む。

なんだかんだ言って、彼はあたしの好みをちゃんと理解してる。

あたしは趣味でアンティークな小物を集めてる。

なぜだかわからないけれど、新しいものより、使い込まれた古いものに惹かれるのだ。

ピカピカしたものより、少しくすんだ感じが好きなんだよね。
人の手に触れていたものには、温もりを感じるの。

< 88 / 101 >

この作品をシェア

pagetop