永遠の君へ ~禁断の愛の果てに~
海の見える宿でただ光を想って過ごした。
8畳の和室に、トイレと洗面所だけ。
窓辺には、椅子が二つ置かれていて、私は一日のほとんどをその椅子で過ごした。
もう3日が過ぎていた。
何もしていないと、あの夜のことばかり思い出してしまって、体と心が燃えるように熱くなった。
鞄に詰め込んだ本をひたすら読んだ。
読んでも読んでも、その内容が頭に入って来なかった。
私の体も心も光に捕われていた。
「光・・・会いたい。」
そう声に出した時、私の携帯電話が鳴った。
さっきまで圏外になっていた携帯電話は、風向きによって時々電波が届いていた。
見知らぬ番号からの電話に、通話ボタンを押し、言葉を何も発さなかった。
『もしもし』
とても似ているけれど、もう聞き間違わない。
夫の声ではない。
私が求めているこの世にたった一人の人の声だった。