永遠の君へ ~禁断の愛の果てに~
畳の匂いが漂う部屋。
貼り替えたばかりであろうふすまには梅の花の模様。
息を飲む音までも聞こえそうな静まり返る部屋で、光の声が私の体に染み渡る。
『もしもし・・・藤乃。父さんが、明日帰って来るんだって。今電話があった。藤乃が家にいないと心配するから、今から帰ってきて。』
私は、まだ期待していた。
期待とは違う内容の電話に、沈んでゆく心。
私は夕方の海辺をゆっくりと歩く。
愛してはいけない愛しい人のいる家へと帰る。
自分の気持ちを整理したくて、わざと遠回りして帰ったのに、
私の気持ちは整理なんでできていなかった。
光を求めている自分自身の弱さと醜さに、ただため息をつく。
あの重い門の向こうには、白い梅のように凛とした光がいるはず。
夜空を見上げて、息を吸い込み、門を押す。