永遠の君へ ~禁断の愛の果てに~
第八章
別荘へ向かう途中に、髪を短く切った。
あの夜、光に触れられた長い髪は、
軽快なリズムのはさみの音と共に
床へ落ちる。
一人で住むには広すぎる別荘だが、
とても空気が綺麗で、私はここで一生暮らすことを心に決めた。
もう恋はしない。
もう何もいらない。
ここで、息子と家族の幸せを祈りながら生きて行きます。
夫が改装工事をさせた部屋は、新築の家のように綺麗だった。
家具も家電も全て揃っていた。
寝室の窓に飾られていた大きな真っ白な花瓶。
真っ白でまん丸なその花瓶は、月に似ていた。
花瓶に挿してある白梅の木。
まだつぼみもついていないその枝は、もう帰ることのない我が家の庭のものだろう。
そうか・・・
あれからもうすぐ一年になるのか・・・