嘘恋シアター
ど、どうしよう。
お弁当食べ終わっちゃった。
「ご、ごちそうさま…デス」
「ぎこちないよ、大丈夫?」
口の端をちょっとだけあげながら、純粋じゃない親友の心配がとんでくる。
「ま、せいぜい楽しんでおいで?数少ない会話。」
…。
なんで恵ちゃんにはいつも言い返せないんだろう。
きっと将来の旦那さんは口げんかでは絶対勝てまい。
くだらないことを考えていると、またこっちに来る橋本くんが見えた。
1日2回も正面からの橋本くんが見えるなんて今日は良い日だなぁ。
じゃなくて!
これからお、お話…。
お話もできるなんてわたしの運勢大丈夫だろうか。
これから1年くらい良いことないんじゃ…。
じゃなくて!
話の内容だ、内容。
1人で慌てているのをバッチリ見られたのか、
「神谷…今から大丈夫?」
橋本くんから純粋な心配が。
上手く答えれなくて頭を2回縦に振った。
わたしの慌てた様子に、ふっと笑って
「じゃ、行こう」
って教室を出ていった。
教室で出来ない話…
橋本くんのいつもより赤い顔…
木下くんの反応…
そうなの?
期待してもいいの?