嘘恋シアター
「今日で1年だ。」
橋本くんを好きになってから。
「そのうち見物料とられるかもね」
…。
わたしの親友、恵(ケイ)ちゃんはちょっと厳しい。
「…ケイちゃん…」
やめて。あり得る。あり得るくらい見つめ続けているからー!
「あんまり下の名前で呼ぶとおこるよ!」
トレードマークのポニーテールを揺らしながら恵ちゃんの顔が少し赤くなる。
恵ちゃんは、 佐倉恵(さくらけい)っていう本名がある。
男みたいな名前を嫌だと言うケイちゃんは、
名前みたいな名字で呼ばれる方が好きだと言う。
だけど、わたしはケイちゃんって呼ぶ。
みんなは「さくら」って呼ぶけど。
だってわたしが「ケイちゃん」って言うと
怒ったようなふりをして
ちょっぴり嬉しそうなのを知ってるから。
実は隠れ照れ屋さんなのだ。
そして中学からの付き合いで今年5年目になるわたしは
こっそりケイちゃんの照れた顔が好きなのだ。
普通の会話では見れないこのかわいい顔が。