嘘恋シアター
「っ…タコさんっ…つまったっ、ケホッ」
「…タコさん…?あんたさっきから大丈夫?」
わたしの向かい側に座る恵ちゃんには、
こっちに来る橋本くんは見えない。
必死で伝えようとするんだけど、伝わらない。
テンパると言葉が出ない典型的な日本人だったんだ、わたし。
「どうしようケイちゃん。
わたし本当に見物料とられちゃう」
そのまえに、ずっと見てたこと気づかれちゃう。
キモいとか言われたらどうしよう。
やっと理解したっぽい恵ちゃんは振り向いて橋本くんに気づく。
「まぁ、それもいいんじゃない?話せるし。」
さらっと流される。
そうだけどっ!
あんまりしたことのない会話をできるかもだけど!