嘘恋シアター
「このあと、神谷借りていい?」
「いいよ」
こっくり頷く恵ちゃん。
あれ、えっ?
わたし?今わたし呼ばれた?
いまいち理解できないでいると、
「弁当、食べ終わってからでイイから」
ってちょっと笑いながら橋本くんはわたしに話しかけた。
…会話の中の神谷はわたしであっていたようだ。
「じゃ、あとで。」
くるりと自分の席に戻っていく橋本くんを見送る。
「よかったね、べにー」
お嫁にはまだ行かないでー
というまったくシャレにしかならん恵ちゃんの冗談に、今話かけられたんだ、って実感がわいた。