光の思い出 - happiness&unhappiness -
幸福で不幸な思い出
「よーし! クリスマスイブは寂しい者だけで集まって、楽しもうじゃないか!」
きっかけは、これ。
同じゼミに所属する片山くんの、張り切ったこんな言葉だったと思う。
どうやら寂しい者……恋人が居ないゼミメンバーだけで集まり、クリスマスを満喫しようとか何とか。
その名も「リア充の何が偉いんだ!の会」。センスもへったくれもない。リア充の人を羨んでいる気持ちが丸出しなだけじゃんか。
正直、どうでも良かった。私はいわゆる片山くんの言う寂しい者に属しているわけだけど、別にクリスマスに特別な感情なんて抱いていない。
一緒に過ごす人が居なくて予定が空いているなら、バイトのシフトを入れて稼いだ方がマシなわけだし。
そう思って、そんな会に参加する気持ちはさらさらなかった。
だけど……なぜだろう。
12月24日。
私は今まさに、そのへんてこな名前の会に出席している。
会場はカラオケボックスだった。私以外のメンバーは好きな歌を歌って、思いのほか各々に楽しんでいる。
参加者は男女6人。もちろん全員独り者。しかも男女3人ずつと綺麗に分かれているから、何だか合コンみたいだ。
メンバーはよく知っている顔ばかりだから、変な期待などしないけど。
……ほんと、何で参加してるんだろう。
「……透子のバカ野郎」
部屋に流れる流行りのアイドルの曲。そのアップテンポな曲が流れる部屋にはとても似合わない不満を溜め息と一緒に漏らした。
しかもまさに今流れている曲を、楽しそうに踊りつきで歌っている子が透子だ。
同じゼミに入ってから知り合った子だし仲は良いのだけれど、今はただ文句しかなかった。耳に入ってくる音楽が憎たらしい。
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