光の思い出 - happiness&unhappiness -


 おまけに人が悶々と考え込んでいる間に、透子はしっかりと戸田くんの隣をキープしている。

 戸田くんも満更でもないみたいで、腕に絡み付く透子に嫌な顔一つ見せていない。

 ……しかも気付いたら、男女2人ほどメンバーが消えてるんですけど。
 何なの、くっついて姿くらましたの? リア充反対の会じゃなかったけ。あれ、名前違うっけ?

 整理しよう。
 残ったメンバーは酔っぱらいの片山くん、爽やかに笑顔を浮かべる戸田くん、それにメロメロな透子、帰りたい私。

 ……いや、何このメンバー。帰りたいゲージがマックスになるメンバーなんですけど!

 だけどそう思ったって、時すでに遅し。
 上機嫌の片山くんを先頭にして、広場に向かって歩かされる。

 渋々と、3人のあとに続いて歩いた。

 だけど、隙があればすぐにでも逃げ出そう。今はもう、それだけしか考えたくなかった。



 駅の近くの広場で行われるイルミネーション。それは毎年冬の名物となっているぐらいクオリティーが高い。

 そんな場所がこんなクリスマスイブに空いているわけもなく、想像以上に人の波でごった返していた。
 しかも周りのほとんどはカップルで、単なる人混みとは違う熱気にやられてしまいそう。

 寂しい者同士でクリスマスを楽しむために集まったはずなのに、結局はリア充と同じ場所に来ているなんて……。もう当初の目的なんてどうでもいいのだろう。
 現に片山くんは、嬉しそうに光の粒を眺めている。

 だけど何だかんだと思いつつも、私も一度(ひとたび)光の世界を目にすればすぐに虜になった。


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