俺が媚薬を隠し通す

俺は学生時代に卒業旅行で行ったギリシャの町で偶然にも覗いた香水の老舗店で妖艶な女主人が、遠路はるばる来た俺に 小さな小瓶をオマケだと言ってくれた。

それが、媚薬。

たった一人にだけ使える、言わば惚れ薬だ。

葉山がベッドに座り、俺は目の前にいる生徒になんの問題もないから大丈夫だと伝えると、頭を撫でてやるんだ。

顔を赤くして、俺に礼を言って保健室を出て行く。

ドアが閉まると、葉山が話し出す。

「 先生ってイケメン狸だね~ 」

「 ぬかせ!誰が狸だ… お前は今日は何しに来た?」

「 実はね… 先生を誘惑しに?」

クソガキめっ。こいつ見かけだけは大人だけど所詮、ガキだからな…

「 先生ってさ、もっさいから恋人いないでしょ?私じゃダメ?」

はいはい、気づかいどーもね。

「 葉山、どこも悪くないなら戻れ 」

「 先生、私 絶対いい女になると思うからさぁ 付き合ってよ 」

大人ぶったところで子供だろうに…

他の女子生徒は照れながら、恥ずかしながらやってくるのに…
葉山はただ俺をナンパしてるようなもんだ。

「 先生… あのさ… 」

「 お前はよく喋るなぁ 」

保健室にいる俺に安息を求めるなら、俺はどこに求めたらいいんだ?



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