俺が媚薬を隠し通す

媚薬を使えないまま、俺の思う恋がやってこないが、葉山はやってくる。

なのに 今日は… 葉山は来なかった。

翌日、それが原因かはわからないが、気にしている自分がいる。

他の女子生徒が保健室に来て、体育授業で転んだとの擦り傷を消毒していた。

「 先生 そういえばね、昨日 葉山さん告白されたんだって。確か陸上部の… 名前わかんないけど 」

葉山が、告白された?
だから昨日来なかったのか…

「 この擦り傷なら大丈夫だ 」

「 ありがとう先生 」

葉山…… 陸上部の誰だ?付き合うのか?
いつもなら ここに来ている時間だが…

俺はなぜか不安という緊張感に襲われた。

俺… なに気にしてんだ、俺は仮にも媚薬を使おうとしてる悪い奴なんだ…

生徒の手当てが終わって、保健室を出て廊下を歩く。
階段から降りて来た葉山の声が俺の歩く足を止めた。

「 先生!トイレ?」

「 ああ、お前は… 」

「 何~ 先生 眉間にシワ寄ってるよ?」

眉間… 誰のせいだよ!

やっぱり俺は気にしている。
いい年して、小娘にキスされたくらいで動揺して、葉山に告白した奴とどうなってるのかさえ聞けないで、今、悶々と葉山を睨んでいる。

情けない、それだけだ。

葉山は本気だと言ったのに…
なぜコイツは平気な顔してるんだ?
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