俺が媚薬を隠し通す
「 先生、眉間が寄りすぎてて怖いよ?般若みたい… ぶふっ、般若だって~ あはは!」
な… 般若だとぅ!?くっ… 腹のたつ小娘め~
「 葉山… 放課に俺んとこ来い 」
「 え… いいの?やったぁ 」
勝手に喜べ、こうなったらあの媚薬、葉山に飲ませてやるっ
葉山の奴、俺に本気だと言いながら勝手にキスして告白なんかされやがって、しまいには知らぬ顔でよく俺を般若だって言いやがる。
いや… お? なんか俺、おかしくないか?
何考えてんだ… これじゃ葉山を好きみたいじゃないか!
いかん、顔を洗ってシャキッとせねば。
トイレでジャバジャバと顔を洗って鏡を見てみると、ゆるゆるパーマな髪が濡れてなかなかいい感じだと思う。
「 水もしたたる… 何とやら… ってか?」
フン、この俺が葉山 沙理を?
葉山の言う通り、俺はイケメン…
だが、狸だというのは当たっているかもしれない。
自分の葉山への動揺を気づかないフリしている。
きっと認めるのが怖いんだ。
葉山にたいして、俺はどうしたらいいかわからない。
鏡に写る自分は、素直じゃない俺…
葉山や他の生徒たちより素直になれないガキだ。
水がしたたってもイケメンは狸が化けているだけ。
媚薬が必要なのは… 俺自身かもしれない。
「 さて、どうする?俺 」
媚薬を葉山にと考えて自分の所に来るように言ったものの、媚薬を使うべきは自分だと気づいたが… もっと、重要な事に気づいた事を認めなければ先には進めない。