雪の足跡《Berry's cafe版》
ずっと一緒に滑りたい、そう思ってここに来たんだ。私は自分を奮い立たせて声を上げた。
「ヤギっ!」
滑りながら叫ぶ。気付かないのか、八木橋は止まらない。
「ねえ、ヤギ! ヤギってば!!」
悠々と滑っていた八木橋はようやくコース脇に向かい、端に止まった。私も並ぶように止まる。八木橋は俯くようにし、ストックでグサグサと雪面を刺していた。
「ヤギ……?」
「……ヤギヤギ言うな、アホ」
「聞こえてたんじゃない……」
八木橋はストックでひと刺しして手を止める。そして、大きく息を吐いた。
「ヤギ?」
「……だから」
怒ってる……?
「お前もいずれ“ヤギ”になるんだろ?」
「ヤ……?」
息が止まる……。