雪の足跡《Berry's cafe版》
「ヤギの血液型」
「はあ?」
「ヤギの好きな色」
「合コンみたいな質問すんなよ」
「ヤギの出身小学校」
「何だよ、今度は見合いかよ」
八木橋のシャツをぎゅうっと掴む。
「だってヤギのこと、何にも知らないんだもん……」
八木橋は私の肩から離れて私の顔を覗き込む。私もシャツを離した。
「……誕生日聞いて血液型知って、占って相性悪かったら別れんのか??」
「……」
「出身小学校聞いて出身大学名を聞いて無名の大学なら別れんのか??」
「……」
「占いを信じる乙女チックな柄でもねえ癖に」
肩を抱き寄せられる。目の前には八木橋のシャツ。頭に頬擦りしてるのかグリグリと何かを擦り付けられた。
「焦るなよ。少しずつ覚えていけばいいんだし、ユキに隠し事なんてねえから何でも話してやるから」
私はコクリと頷いた。すると八木橋は肩に置いた手を私の背中に回して抱きしめる。ぎゅうっと腕を強くした。顔面に八木橋のシャツが押し付けられて息が苦しくなる。私は顔を上に向けて息を吸った。
上を向いた視界の中に八木橋の顔が入ってくる。クスクスと笑って私を見詰めている。