雪の足跡《Berry's cafe版》
慌ててトイレに駆け込む。パジャマのズボンを下ろし下着を見る。おりものに混じって少量の血液が見えた。
「や……どうしよう……母さん……」
私は階段を早足で下りて、母の部屋のドアを開けた。母はもう起きていて布団を上げていた。どうしたの?、妊婦が階段を駆け降りたら駄目よ、と私を怒る。
「だって、だっ……あの」
パニックになって口が動かない。
「どうしたの?」
母に落ち着きなさい、と手を握られた。
「血、血が……」
「ええ??」
母に、いつから?、どのくらい?、と聞かれ答えると再び、落ち着きなさい、と怒られた。
「少しなら心配ないから。様子を見て酷くなるようなら病院に行きなさい」
「でも」
母はお腹の赤ちゃんが血管から栄養を取ろうとして穴を開けてるから、とか、ホルモンのバランスが崩れて子宮入口がただれてるから、とか正常な妊娠でも出血はあると、出血の原因をいくつか説明してくれた。出血イコール流産だと思い込んでた私は体の力が抜けて畳に座り込んだ。
「ユキったら」
「だって……」
「もう、本当に“お母さん”なのね」
そんなに心配なら病院に行ってみたら?、赤ちゃん見えるかもよ、と母に言われた。予約は来週だけど、心配だった私は診療開始時間を待って病院に向かうことにした。
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