雪の足跡《Berry's cafe版》
朝食を取るけどソワソワする。お腹は重たい感じはするけど痛みはない。きっと母の言うように初期にはよくあることだと言い聞かせる。
「ユキ、大丈夫よきっと」
「うん……」
出掛けにトイレに入る。出血はさっきより増えたように見えた。当てていたナプキンを取り替え、すぐに車に乗り込み、走らせた。
ハンドルを握る。もしものことが頭を過ぎる。万が一、流産したらどうなるの、って。赤信号に阻まれて気持ちはますます焦った。別に青信号で早く着いても診療時間にはならないのに。
心配でお腹を見る。
「コユキ、大丈夫? 苦しくない?」
お腹に手を当てて聞いてみるけど返答はない。青信号に変わり、私は発進した。
病院に着く。受付を済ませてまたトイレに行く。私は慌てた。出血量がかなり増えてる。
診察室に呼ばれ、中に入る。状況を説明してすぐに内診された。下着を下ろすとおりものに混じって出血したというよりは生理に近い量だった。台に上がり、触診、超音波による診察を受ける。恥ずかしいとか緊張とかそんな感覚などなかった。
壁に掛けられたモニターに画像が映る。でも白黒の波だけが動き、何も言わない。こないだ見えた点もない。
そして医師が告げた言葉は非情なものだった。