雪の足跡《Berry's cafe版》

 八木橋は私に覆いかぶさり動く。時折私の足を抱えたり、それを離しては耳元に唇を寄せ囁く。首筋を噛む。結婚も考えてた元カノとも……。


「んんっ……」
「ここだろ?」
「あっ」


 私を攻める。


「や……」
「ユキ、可愛い」


 そう言っては動きを止める。そして指で私の唇を軽くなぞる。


「ヤギ?」
「今日は、すげえ可愛い」


 数回揺れて止める。また揺れて止める。


「ユキ……愛してる」


 八木橋は、駄目だユキ、いいか?、と言って激しく揺れ始めた。ただでさえ絶頂に近いところにいた私は息も絶え絶えになる。

 意識が朦朧とする中で八木橋が彼女を抱いた姿が脳内に浮かび上がる。こんな風に彼女を抱いた?、彼女にもそう言ってなぞった?、彼女の名を呼んで可愛い、って囁いて、そうやって焦らすと、彼女、喜んだ?、愛してるってそれもヤギのベッドの上の常套句? 彼女にも言ったんでしょ?? ほら、スクール小屋で私を抱き上げたみたいに……。

 ベッドの軋む音、八木橋の息。彼女に施した同じ愛撫でそれで昇り詰めたくはないのに体は素直に反応する。

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