雪の足跡《Berry's cafe版》
八木橋は再び私を腕ごと抱きしめると腰を打ち付けた。耳元で、ユキ愛してる、ユキ、と呟きながら……。
「ヤギ……駄目……やっ……」
私は抱きしめられた窮屈な腕の中で背を反らした。それを許さないかのように八木橋の腕がきつくなる。少しして八木橋は中に放つとぐったりと私に覆いかぶさった。
「情けねえ」
「何が」
「すぐイっちまって」
八木橋は起き上がり、自分の始末を始めた。ゴールデンウイーク、いつ来るか?、コンドミニアム棟ならまだ空きがあるらしいから予約しとくぞ、と言う。ベッドに寝ていた私は壁側に寝返りを打った。
「……ヤギ」
「何だ」
「元カノって可愛かった?」
「ああ……。どした」
「元カノと何故別れたの?」
雪山には来れそうになかったからな、と言った。八木橋は彼女を思って別れた、酒井さんの言ったことは間違いなかった。彼女との将来を考えて苦渋の決断をした。
「もし彼女が猪苗代に来るって言ったら付き合ってた?」
「そだな」
「まだ好き?」
「まあ、嫌いで別れた訳じゃねえしな」
「上になると恥ずかしがった?」
「……はあ??」
「それとも可愛くおねだりしちゃうわけ?」
「アホ」