雪の足跡《Berry's cafe版》
それに妊娠出来なかったらどうしようって。前回の流産は体質とは関係ない。でも私も母のように流産しやすい体質だったらと思うと不安になる。あれは前触れだったかもしれない。子供好きな八木橋に子供が出来ないなんて、八木橋に申し訳ない。彼女ならちゃんと八木橋の子を妊娠して出産も出来るだろうし。
「私、なんかね……」
「どした?」
「疲れちゃった」
「何に」
「遠距離恋愛」
はああ?、このドアホ、と八木橋は笑う。
「なら早く来いよ。宿舎だって空いてるし」
「そうじゃなくて。母もこの家も心配だし、やっぱり無理なんだと思って」
マリッジ何とかってヤツじゃねえのか、月初が無理なら月末ならなんとか来れるだろ、部屋は取っておくから来いよ、と言って八木橋は再びベッドに潜った。