雪の足跡《Berry's cafe版》
橋の真ん中で八木橋は立ち止まった。
「ほら」
八木橋は顎で上流をしゃくる。そこには川の両岸にボンボリの中で咲く桜、僅かに照らされた川面、水の音。
「どした? 感動して泣いてるのか?」
両頬を液体が伝う。風が吹いて涙の跡が冷たくなる。
「なんだ、模擬店通り過ぎたから泣いてるのか? 団子食うか?」
私をけしかけて八木橋は私を笑わせようとしてる。でも私は笑えなかった。しばらく無言で桜を眺めていた。
「……俺、急かし過ぎたか?」
まだ知り合って4ヶ月だしな、結婚は一生のコトだしな、と八木橋は頭を掻いた。
「少し……時間、置くか」
「そうじゃなくて」
「終わりにしない?」