雪の足跡《Berry's cafe版》

……ムカつく。


「それとね、明日お写真撮るの」
「そう」
「ドレス着てお花畑で撮るの。いいでしょお?」


 多分ホテル併設のあのフラワーファーム。目に入れても痛くはない愛娘のために両親はフリフリのドレスをレンタルでもしたんだろうか。


「ヤギせんせがピンクが好きって言うからピンクのお洋服にしたの」
「ピンク……」


 八木橋はピンクが好きだなんて知らなかった。私には似合わない色。


「ピンクなんて幼稚ね」
「菜々子4月から小学生だもん! 幼稚園児じゃないもん! お写真だってヤギせんせと一緒に撮るの、いいでしょ、羨ましいでしょ!」
「へえ、それは良かったわねっ」
「ヤギせんせもタクシーに着替えるのっ」
「タ……っ……!」


 菜々子がタキシードとタクシーを勘違いして喋ってるのも笑えたけど、タキシード姿の八木橋を想像して吹き出した。


「オバっ……おねえさん、どうして笑うのっ! 菜々子にシットして笑うしかないんでしょっ!」
「何故嫉妬しなきゃいけないのよ」
「じゃあコドモだってバカにしてるの??」

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