雪の足跡《Berry's cafe版》
私はそのドライブの朝、近くの通りまで出て柏田さんを待っていた。
「家まで迎えに行くのに」
柏田さんはそう言って私を助手席に乗せた。行き先は那須。猪苗代方面でないことにホッとした。スピーカーから流れてくる曲は耳馴染みのある曲。柏田さんはわざわざ私の好きな音楽を用意してくれていた。
「気分が悪くなったら言ってくださいね」
車は東北道をひた走る。景色は青々と茂る緑から徐々に淡い新緑へと移り変わる。スキーで散々通った道なのに全く違う景色に見えた。
携帯にメールが入る。柏田さんに断って画面を開くと、八木橋からのメールだった。
『板のチューンナップ終わったから取りに来い』
別れたにもかかわらず、命令口調のメールにムカついた。
『宅配便で送ればいいでしょ!』
私はそう返信メールに打ち込んで送信した。
『チューンナップしてやったのに何だよ、それ。アホ!』
『アホ? アホはどっちよ!』
『アホはお前だ! アホ』