雪の足跡《Berry's cafe版》
出来上がったキャンドルを包装してもらい店を出る。休憩を兼ねてカフェ併設のパン屋に寄りお土産を買った。そのパン屋を出る頃には日も落ちかけて街灯も灯っていた。
「帰りましょうか」
「はい」
今頃気付いたって遅い。八木橋じゃなくちゃ嫌だ、って。ううん、そんなことは分かってた。ただ怖かった。八木橋の元カノの存在が、私の流産のことが。怯えながら生きてくより、安楽な道がいいって、それを選んだ癖に。
買い込んだパンやジャムを後部座席に乗せると後ろから柏田さんに声を掛けられた。
「ユ、ユキ……さん……」
街灯に照らされて逆光になっていたけど、柏田さんが強張った表情をしてるのは何となく分かった。柏田さんが一歩前に出る。両腕が徐に上がり、手を肩に掛けられた。