雪の足跡《Berry's cafe版》
渡り廊下を戻りコンビニに行く。今夜の夕飯の食材、チョコケーキの材料、泊まりの支度はしてなかったから下着や化粧品などを買った。八木橋は酒を物色しながら、イチゴ柄のパンツはあったか?、と私をからかう。
コンドミニアムの部屋で食事を作る。八木橋は隣で酒を飲みながら手伝う。出来るそばからつまみ食いをする八木橋と競うように食べて。
そして話をした。雪の結晶を見る度に私の父親を思い、ヤキモチを妬いてたこと。元カノのことも弟の授かり婚のことも聞いた。元カノとはプラトニックで終わったことも、弟のお嫁さんの妊娠騒ぎで相談に乗ってるうちにそういうことに詳しくなったことも。父にまで嫉妬する八木橋を可愛いと思ったし、私のことをファザコンと怒る癖に授かり婚はするまいと母親を気遣う八木橋はマザコンだとも思った。
チョコケーキも焼き上がり、あのときを思い出しながら食べる。私のことは遊びなんだと諦めていた。八木橋も私を思い、ここに呼ぶことを諦めていた。そう互いに思いながら口にしていたケーキ。でもこれからは違う。今夜からはこれが二人の味になる。