雪の足跡《Berry's cafe版》
「か、勘違いすんなよ」
「何が。ヤギがロリコンなのはよく分かってるわよ」
「だから……」
八木橋は何か説明しようと口を動かしかけて辞めた。ぶっきらぼうで口下手な八木橋は説明するだけ言い訳がましくなると思ったのかもしれない。
「……ヤギ、分かってるからいい」
今の八木橋にとって私が一番だって信じてる。澪さんを引きずって持ってる訳じゃないって。
「携帯、変えるか?」
私は首を横に振った。あの時私が携帯に水を掛けなければ、私はここにいなかったと思う。元カノとお揃いかもしれないけど、それは私と八木橋を繋いでくれた携帯でもある。
八木橋のそばに行き、白い携帯を握り締めている八木橋の手に自分の手を重ねた。
「その携帯、大切にして? 澪さんにも申し訳無い気がする。壊れて使えなくなるまでちゃんと使って欲しい」