雪の足跡《Berry's cafe版》
「汝……」
「誓います」
「汝……」
「誓います」
温室教会で式を挙げる。誓いの言葉を言い、そして誓いのキスをして目を開けようとしたとき、辺りが急にざわついた。
「あれ……雪?、雪だ」
「えっ、あら」
目を開けて八木橋と目を合わせる。そうしてから二人で外を見た。
「あ……」
硝子の向こうに杉林が見える。その手前に小さな白い粒がチラついていた。
「親父さんが見に来たな」
「うん」
母の予想は外れた。フワフワと舞い降りる雪は泣いてるというより喜んでるように見える。そっと、優しく私達を見守るように……。
式を終えて、皆で外に出る。それぞれに持っていた風船を離すと、空にゆっくりと昇っていく。色とりどりの風船が白い雪の中に消えていく。
「父さん、ありがと……」
私は笑顔で風船を見送った。
(おわり)