雪の足跡《Berry's cafe版》
私は席を立って窓に向かって早足で行く。そして窓を開けて深々と降り積もる冬木立に向かって携帯を放り投げた。
「おいっ、ユキ!!」
白い携帯はゆっくりと弧を描くと、白い雪に埋まり、姿を消した。
「職権乱用して私のアドレス入れたから消したのっ」
「まだ怒ってたのかよ」
「大体、嘘ついてレッスン代出させて女をもてあそぶからよ! チャラ男詐欺師!」
「ったく……」
八木橋はため息をつくと窓を閉めた。そして、気をつけて帰れよ、とまた同じ台詞を吐いてレストランを出て行った。