雪の足跡《Berry's cafe版》
何を期待しているのだろう。会って何を話すと言うのだろう……。
午後のレッスン開始時間になり、5人を集合場所に連れて行く。初心者3人はストックを突きながら雪上をおっかなびっくりで歩く。板は 仕方なく私が運んだ。叔父と母はブランクはあるものの、板を担いで平気で歩いている。
「あ、青山さんっ!」
酒井さんだった。その“青山さん”の声掛けに私と母と叔父が反応した。
「え、あ、ん……?」
私が、今日レッスンを受ける母と叔父と叔母3人です、と紹介すると、少し驚いた顔をした。
「あの、何か……」
「や、てっきりさ、ネット申込書には代表者しか記入されてなかったからさ」
酒井さんは苦笑いして、こないだ友達連れてきてって言ったから友達と来たんだと思っててさ、私に耳打ちした。
「男連中集めちゃったよ」
「ご、合コンしようって思ってたんですか??」
冗談、冗談、俺は年上好きだからちゃんと指導するよ、と言うと、母や叔母たちに挨拶を始めた。私はそれを見届けてリフト乗り場に向かう。