理系彼女と文系彼氏(旧)
「…………………深緑さん。これ、くれる?」

開かれた画面を凝視してそう呟く月見里君。

え?

見せてくれないの?

「了解!いい写真でしょ?」

パチン、とウインクする菜穂。

ちょっと、何の写真?

「俺を空気にするなよ、菜穂」

不満気な声と共に菜穂の頬にキスを落とす藤堂先輩。

美男美女は何をしても絵になる。

「あれ?嫉妬した、蓮?」

「してねえよ。俺の方が文より何倍も上」

「藤堂先輩って、カッコいい」

皆が私の方を振り向く。

また、やっちゃった。

口は、災いの元、なのになぁ。

にまー、と猫のような笑みの菜穂。

むすっと不機嫌な月見里君。

嬉しそうな藤堂先輩。

180㎝は軽く越えてそうな高い身長。

月見里君より筋肉質でがっしりした身体。

スポーツ刈りの頭も爽やかな印象。

少し茶色の目は悪戯っぽい光をたたえていて。

やっぱりカッコいい。

「ありがと。水橋さんも可愛い」

むすっとしている月見里君に目をやって笑いながら藤堂先輩は言う。

「いえ、そんな。私のことは理恵って呼んでください」

「いや。それはやめとくわ。文がうるさいし」
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