理系彼女と文系彼氏(旧)
「理恵ちゃん。計算お疲れ」

ひやっとしたタオルが首に当てられる。

誰かって、まああの人。

「月見里君、いいんですか?練習サボって理系クラスと絡んでたってバレたらしばかれますよ?」

てか、迷惑です。

私も怒られちゃいます。

「いーの、いーの。僕、働き者だから多少サボって遊んだって平気。それよりさ、理恵ちゃんも疲れたでしょ?抜けちゃわない?」

瞳が楽しそうに細められる。

「大丈夫です。計算で疲れるわけありません」

私にとって計算とはまさに生きがいなのですから。

「そーいうのじゃなくて。太陽光、苦手でしょ?ジュースくらい奢るけど」

いつの間にか知られていたのやら。

でも……、魅力的なお誘い。

駄目かな、とか言う彼の瞳はどうしようもなく抗えない光があった。

「絶対に変な事しないなら行きます。オレンジジュース奢って下さいね」

「しない。誓うよ」

「なら、少し待ってください」

クラス委員に休憩をとる、と告げて彼のもとに戻る。

「じゃあ、行きましょうか」

「うん。いやー、バレたら終わりとか僕達ロミオとジュリエットみたいだね」

「ふざけたこと言わないでください」

「僕はいたって本気なんだけどな」

そんな会話を交わしていると自動販売機のある中庭についた。

ちらほらと休憩している人がいる。
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