理系彼女と文系彼氏(旧)
「月見里君、買って来てください」

二年や三年ならともかく、一年の分際で文理の敵同士で休憩していたら冗談じゃなくしばかれる。

「了解、僕のジュリエット」

ふざけた言動は悪化しているけれど彼は私に毎日告白するのは止めた。

私が本気で嫌なことはしないから嫌いになりきれない。

告白されても戸惑うだけだもの。

友人としてなら末長く仲良くしたい。

それが嘘偽りなく、本音。

「ふぅ…………、生き返りますね」

今、私達は美術準備室にいる。

美術の先生ぐらいしか来ないので安全な場所。

ゆったりと私はオレンジジュース、月見里君はココアを飲めるのである。

「うん、だねー。てか、眠くなっちゃった」

ふわぁ、と欠伸をする月見里君。

「寝ちゃ駄目ですよ?まだ、練習あるんでしょう?」

うん、と頷きはするもののその動きはゆっくりしている。

しょうがないか。

「スケジュールを見る限り三十分くらいなら寝れると思います。怒られても責任はとりませんからね」
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