理系彼女と文系彼氏(旧)
ガシャンッ

「あ…………っ」

つい、落としてしまった。

早く拾わなきゃ。

わかっているのに手が動かない。

早くしないと月見里君が戻ってきちゃうんだから。

無理矢理体を動かして写真を拾う。

そのタイミングで彼が戻ってきた。

最悪。

「理恵ちゃん、オレンジジュースでよかったかなー?」

私が手に持っているものを見て月見里君の表情が固まる。

「…………理恵、ちゃん」

無理した笑い。

気が付いてもいつものように止めてほしいなんていえない。

多分私も彼と同じような顔をしてるから。

そうだよね。

ただの一目惚れなんかでこんな地味で不細工な女に惚れるわけないよね。

性格だってよくないし、いっつも冷たくあしらってるのに好きって言ってくれるはずが、ないよね。

そうだよ、写真の女の子のほうが可愛い。

いくら私に似ているっていっても笑顔を浮かべていたし。
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