理系彼女と文系彼氏(旧)
「月見里君って最低ですね」

つい口に出してしまった。

部室の奥で道具を落とす音がする。

あっちゃあ、聞こえちゃいましたか。

ガタガタと派手に物音を立てながら月見里君が寄ってくる。

え?

ちょっと泣きそうになってる?

「理恵ちゃん!?今、僕のこと最低って言った?酷いよ、僕は理恵ちゃんのことが大好きなのに……………」

あー、また言ってるよ、この人。

よく飽きないなぁ。

「いや、言いましたけど」

綺麗で大きい瞳に涙が溜まってくる。

うわぁ、やりにくい。

「……何で?僕のこと、嫌い?」

「嫌いじゃありません。むしろ好きな部類です。顔は。ほら、初対面の時のことですよ。会ったばっかりの女の子からいきなりファーストキスを奪うって最低じゃないですか」

好き、という言葉に反応してぱぁっと彼の顔が明るくなる。

「僕のこと、好きなら付き合って?」

来ると思った。

「丁重にお断りさせて頂きます」

彼に出会ってから、不本意ながら私は毎日告白されている。
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