透明白紙
その日から

From the start

ああそうか、私死んだのか

死ぬなんて案外呆気のない物で

死ぬなんて言葉に悲しむ時間なんてなくて

まだ生きているような感じだった

こんなにも早く私の人生が終わるとはおもっていなくて

死ぬ直前に言いかけた言葉もちゃんと覚えていて

また、明日もみんなに会える気がした

でもそれはもう無理なことで

今まで当たり前だったこの世界が、この景色が

こんなにも、こんなにも鮮やかだなんて

もう、帰ってこないなんて

今にならないとわからなかったのかもしれない

どうあがいても、私の目の前にいる彼らにこの声は届かなくて

彼らに手を伸ばしても空を掻くだけで

今ある私の現実を受け止めたくなくて

あの時、最後に伝えていれたら

今日私が死ぬってって分かっていれば

今になって湧き出すこの訳のわからない感情なんてものが

出てくるなんて無かったのだろう

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