ポケットダーリン
小さな傷
トントントン、と規則的ににんじんを切っていると、ヴンヴヴン、と不規則な振動がLINEの通知を知らせた。
叶人
{ ごめん、ほんとごめん!
代表と飯食って帰ることになった。
帰ってから絶対食べるから!
ハァッ、煮えくり返った腸から、出口を見つけた蒸気が勢いよく吐き出された。
「どうせお腹いっぱいで食べないじゃん。
どうせすぐ寝るんじゃん。
誰のために作ったと思ってんの?
あたし今日も仕事なんだけど?
寝る間を惜しんで作ってたんだけど?」
ガシャンッ、乱雑にボウルを置いて部屋へ行き、ベッドに身を投げる。
「あーーーーーーー!!!」
抱き枕を口に当てながら、思いっきり叫んだ。
感情のコントロールがうまく出来ない。