ポケットダーリン
ヴーン‥ヴーン‥
携帯の振動で目を覚ます。
「やば…寝坊した…」
電話には出ず、ムクリと起き上がる。
時計を見ると、とっくに出勤時間は過ぎていた。
溜まった着信は10件を超えている。
しかし焦ることもせず、のんびりと身支度を始めた。
用意が終わり、店に電話する。
予約が入っていた。
マンション前まで迎えに来てもらい、車に乗り込む。
気分は憂鬱。テンションは上がらない。
自然に洩れる溜め息は、止むことを知らない。