ポケットダーリン
ビジネスホテルの部屋の前で立ち止まる。
ピンポーン、呼び鈴を押す。
「はい」
出てきた男は、中年の男だった。
「はじめまして♡ミアです♡」
そう言うと、男は部屋へ招き入れてくれた。
狭い部屋に、男が吸った煙草の臭いが充満している。
風俗嬢にしては珍しく煙草を吸わないあたしは、少しだけ憂鬱になった。
「お店に電話しますね。何分にしますか?」
そう聞くと、男は「90分」と答えた。
店に電話し、その旨を伝える。
そうして、男と風俗嬢ミアの90分間がスタートするのだ。