ポケットダーリン
「ただいまぁ‥」
どんより、疲れ切った声しか出なかった。
部屋は真っ暗で、まだ叶人が夢の中であることを物語っていた。
今日は、叶人は休みの日だ。
頭では解っている。
毎日浴びる程酒を呑んで辛いこと。
なかなかアルコールが抜けず、休みの日は寝ることでしか回復できないこと。
毎日寝不足で、休みの日くらいたっぷり寝たいこと。
だけど、あたしは今日も働いてきた。
今日初めて会う人の愛撫を受け、奉仕する。
好きでもない人の性欲処理なんて、本当はしたくない。
ポロリと涙がこぼれた。