おかしな国のアリス
「危ないと思い、ロウソクをお持ちしただけです…」
「あ…え?」
落ち着いてよく聞くと、この声は聞いたことがある。
「アリスって意外に凶暴なんだな…」
「ふふ、意外な一面を拝見できてよかった♪」
緑色のオールバックに、びしっと着こなしたスーツ。
時折見える長い舌は…
「び、ビル…!?」
「うふふ、大正解ですv」
私の手を優しく離し、ロウソクを近付ける。
「どうぞ?」
「どうも…ありがとう…」
ロウソクを受け取って、私は軽くお辞儀をする。
「…いつの間に?っていうか…人間だったっけ…」
「コイツ、強い明かりがあると人間になるんだ」
猫がビルの代わりに答える。
「へ…へえ…」
「うふ、そういうわけですよ」
猫の言葉にそう付け足して、さて、と伸びをした。
「参りましょうか、女王様の元へ。」
「へっ…?」
がしっ、と腕を強く捕まれ、引きずられるように部屋の奥へ。
その後ろから、だるそうに猫がついてくる。
「大丈夫かな…」
「大丈夫です!この城のことはなんだって解りますから!」
…そういうことじゃないんだけどなぁ…
私はビルにばれないように溜め息をついた。
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