【短】愛のひかり
マンションに帰ると留守電のランプが点滅していた。


誰だろう。
もしかして光? 


あわてて再生ボタンを押すと、男の人の声が早口で流れ出した。


『もしもし、私だ』


その声は彼の父――桐生さん。


『携帯に連絡しても繋がらないので、こっちにかけたんだが……。
とにかく、至急連絡するように』
 

留守電はそこで切れた。


普段の穏やかな話し方とは違い、ひどく焦っているようだった。



ただならぬ様子にどうするべきかと迷っていると、玄関で物音がした。


「ただいま」


「光! どうしたの、まだ5時なのに」


昨夜の外泊の理由を問うことすら忘れ、彼の帰宅で思わず声が明るくなってしまう。


「仕事が早く終わったから帰ってきたんだ」


嬉しい答えだった。

だけど、違和感があった。


彼がこんな時間に帰ってくることなんか、今までなかったから。


「そういえば、お義父さんから光に留守電が」


「ああ、携帯のバッテリーが切れてたからかな。でもさっき事務所に行って会ってきたよ」


「そう……。ならいいの。あ、夕食作るね」


私はエプロンを結びながらキッチンに入った。



久しぶりにふたりでゆっくり過ごせる夜。


せっかくだから彼の大好物を作ろう。



そう思い下準備をしていると、後ろから彼の腕が伸びてきた。


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