【短】愛のひかり
ついに彼が帰ってきたのは、それから2日後。

待つことは辛いとばかり思っていたけれど、この2日間はむしろ楽しみに感じられた。


先に事務所に寄るので帰宅は夜になる、と聞いていたにもかかわらず、当日は朝から落ち着かなかった。


いそいそと夕食の準備をし、新しい花を飾り、その間に何度も時計を見た。


まだかまだかと待っていれば一秒が一分に感じられ、

彼の笑顔を想像すれば一時間もあっという間だった。
 


そして、太陽がどっぷり沈んだ頃。
 

カチャ、とドアノブを回す音がかすかに響き、私は脱兎の勢いでリビングから飛び出した。


「光!」



3年前と同じ鞄を抱えた彼が、玄関で微笑んでいた。



記憶の中のものより、少し痩せた顔。

だけど瞳からこぼれる優しさはちっとも変わっていない……。


「光……本当に光なのね」


私はすでに涙声だった。


願い続けてきたことがいざ現実となると、嬉しいを通り越して恐ろしさすら感じてしまう。


震える手で彼の頬に触れて、その存在を確かめた。


「ただいま、紫乃」


電話越しではないその声を聞いた瞬間、魂の底から喜びが湧き上がった。


おかえりなさい、と言い終わる前に、私は唇をふさがれていた。

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