【短】愛のひかり

祖母が突然の心臓発作で亡くなったのは、それからわずか半年後のことだった。


たったひとりの身寄り。

無条件に私を受け入れ、時には厳しく叱ってくれた人。


そんな存在がこの世界から失われたという圧倒的な孤独感に、14歳の私は押しつぶされそうだった。


近所の人の協力で葬儀を終え、あわただしさが落ち着くと、孤独はますます深くなっていった。
 


そんなときだ。


彼から突然の電話がかかってきたのは。



「もしもし、オレだけど。わかるかな?」
 


彼の声は穏やかで優しかった。


不意うちの温かさが、凍っていた私の心を揺さぶった。


私は受話器を握り締めて泣き始めた。



「どうしたの? 何かあった?」



初めて会ったときと同じ、彼の言葉。



「おばあちゃんが……死んじゃったの」



私は嗚咽交じりの声で祖母のことを話した。


時々言葉に詰まる私の話を、彼は「うん、うん」と相づちを打ちながら最後まで聞いてくれた。
 


思えば祖母を失ってから、こんな風に悲しみを吐き出したことが一度でもあっただろうか。


最後の身寄りをなくしてしまった私は、少しでも泣けば止まらなくなりそうな自分を恐れ、感情にふたをして過ごしてきた。



「オレ、今からそっちに行くよ」
 


話を聞き終えると、彼は急にそんなことを言い出した。



「えっ? いいよ」


「待ってて。すぐに行くから」



返事を待たずに切れる電話。


あまりのせっかちさに私はついていけず、ただただ驚くだけだった。
 


そして2時間後。


本当に彼が目の前に現れたときは、驚きを通り越して呆然とした。



だけど瞳からは涙があふれていたから、きっと私は嬉しかったんだと思う。



「今まで寂しかっただろ? よく頑張ったな」



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