coconut
「ごめん…。亜樹はいつも…
俺に尽くしてくれていたのに。」

この言葉も私に言われているって
思えないくらい、通りすぎた。

耕輔の笑顔ばっかり思い出す。

あの悪戯に笑う笑顔と…
私を抱きしめてくれて、
優しくキスをしてくれる笑顔。

私の心の動きを分かってくれて
悲しい、淋しい、想いをしていると
いつも、私を抱きしめてくれた。

逢いたいと言ったら
飛んできてくれる時もあった。

熱が出たと聞いて、慌てて…
駆けつけた私に、送るよと
立ちあがろうとしてくれた。

尽くしてくれたのは、耕輔で…
私は耕輔に甘えてばかり居た。

二人で居る時なんか
離れたくなくてずっと…
くっついていたのは私だもん。

耕輔の匂いも好きだった。
耕輔の匂いに包まれて…
私は幸せだったのに。

耕輔との恋を失う瞬間なんだね。
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