鉄の薔薇姫
タイアーの口から出たリルアム・ユースの名前にレンカはどきりとした。


「実力、地位、お家柄。何よりシア隊長とは兄妹みたいに仲がいい。付け入る隙がねえな」


付け入る隙がない。
確かにそうだ。

酒で舌が回る。
場の話題は尽きないが、レンカの頭にはいつまでもリルアムの名前が引っかかったままだ。


「レンカはどう思う?」


急に話を振られてレンカは慌てた。
シアとリルアムのことだろうか。


「えっと、あの」


「なんだよ、聞いてなかったのか?次の戦がいつになるかだよ」


「あ、さぁ。いつですかね」


「こいつ、やっぱまだ子どもだなぁ」


仲間たちが笑い、レンカはごまかすために何度も頷いた。

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